家づくりを検討されている方は、InstagramやYouTubeなどで、住宅の基礎工事の写真や動画をご覧になる機会も多いのではないでしょうか。
最近は、住宅会社や工務店が基礎工事の様子をSNSに投稿することも増えました。
その中で、私が気になることがあります。
それは、「ベタ基礎にしているから安心」「基礎がきれいに見えるから大丈夫」と、工法や見た目だけで判断してしまうことです。
もちろん、ベタ基礎は現在の木造住宅で広く採用されている基礎工法の一つです。
建物の荷重を底盤全体で地盤に伝える構造であり、適切に設計・施工すれば、優れた基礎になります。
しかし、ベタ基礎にすれば、それだけで地震に強い家になるわけではありません。
大切なのは、基礎の形式だけではなく、建物全体の構造を考えたうえで、必要な基礎が設計され、きちんと施工されているかどうかです。
今回は、基礎工事を見るうえで私が大切だと考えているポイントをお話しします。
1.基礎の立ち上がりは、ただあればよいわけではない
ベタ基礎というと、地面に接するコンクリートの底盤部分に目が向きがちです。
しかし、基礎には底盤だけでなく、土台や柱などを支える「立ち上がり」の部分もあります。
この立ち上がりは、建物の荷重を支え、基礎の剛性を確保するうえで重要な役割を担っています。
SNSに投稿された基礎の写真を見ていると、立ち上がりの配置や量が少なく見えるものもあります。
もちろん、写真だけを見て、立ち上がりが少ないから構造的に問題があると断定することはできません。
建物の形状や構造計算、基礎梁の設計などによって、必要な形状は変わるからです。
ただし、立ち上がりの配置や断面、鉄筋の量などが、建物の構造に対して適切に計画されているかは、確認すべき大切なポイントです。
基礎は、コンクリートをたくさん使えばよいというものでも、見た目が立派ならよいというものでもありません。
建物を支えるために必要な構造になっていることが重要なのです。
2.ホールダウン金物は、建物の構造とセットで考える
次に気になるのが、ホールダウン金物です。
ホールダウン金物は、地震や強風によって柱が土台や基礎から引き抜かれる力に抵抗するために設置する金物です。
特に、耐力壁が配置されている部分では、地震時などに柱の引き抜き力が大きくなることがあります。
耐力面材を使用した住宅でも、壁の配置や強さ、建物の形状などによって、柱に作用する引き抜き力は変わります。
そのため、構造計算などに基づいて必要な金物を選定し、適切な位置に設置することが大切です。
SNSの基礎写真を見ていると、ホールダウン金物が少なく見えるケースもあります。
ただし、これも金物の数だけで良し悪しを判断することはできません。
金物の種類や配置、柱の位置、耐力壁の計画などを確認する必要があります。
また、ホールダウン金物は、単に基礎に取り付ければよいものでもありません。
金物に作用する力を基礎に伝えられるよう、アンカーボルトの定着や基礎コンクリートの強度、周囲の鉄筋なども含めて検討する必要があります。
大切なのは、金物の数を競うことではなく、建物に必要な引き抜き力に対して、適切な金物と基礎の構造になっていることです。
3.人通口にも、構造上の配慮が必要
もう一つ、私が注目しているのが「人通口」です。
人通口とは、床下を人が移動できるように、基礎の立ち上がり部分に設ける開口部のことです。 床下の点検や給排水管のメンテナンスなどを行う際に必要となるもので、将来の維持管理を考えるうえでも大切な部分です。
基礎の立ち上がりを連続させるだけでは、床下のすべての場所に移動できるとは限りません。
そのため、人通口をどこに設けるかという計画も重要になります。
一方で、人通口を設けると、その部分では基礎の立ち上がりが途切れることになります。
つまり、点検のしやすさだけでなく、基礎の構造上の強さも考慮しなければなりません。
開口部の位置や大きさ、補強方法などを適切に検討することが必要です。
SNSの写真では人通口が確認できないものもありますが、写真に写っていないだけなのか、別の点検経路が確保されているのか、そもそも床下の計画がどうなっているのかは、写真だけでは判断できません。
だからこそ、基礎工事では、建物を支えることだけでなく、完成後の点検やメンテナンスまで考えて計画することが大切だと思います。
4.基礎は、建物全体の構造を考えて設計する
ここまで、立ち上がり、ホールダウン金物、人通口についてお話ししました。
これらに共通しているのは、基礎だけを切り離して考えてはいけないということです。
基礎は、その上に建つ建物と一体で考える必要があります。
建物の重さはどこにかかるのか。 地震や風による力は、どのように基礎へ伝わるのか。
耐力壁はどこに配置され、柱にはどのような力が作用するのか。
地盤は建物を支えられる状態なのか。
こうした条件を踏まえ、基礎の形状や鉄筋、コンクリートの厚さ、立ち上がりの配置、金物などを計画する必要があります。
さらに、設計図どおりに施工されているかを確認することも欠かせません。
どれほど良い設計であっても、施工が適切でなければ、その性能を十分に発揮することはできません。
基礎工事は、完成すると多くの部分が見えなくなってしまいます。 だからこそ、完成後の見た目だけでなく、工事中の確認や施工管理が重要になるのです。
5.家は、建てるときだけでなく、建てた後も大切
家づくりでは、間取りや外観、キッチンなどの設備に目が向きがちです。
もちろん、それらも大切です。
しかし、長く安心して暮らせる家にするためには、完成すると見えなくなる部分にも目を向けていただきたいと思います。
基礎は、普段の生活ではほとんど意識することのない部分です。
それでも、建物を長く支え続ける、非常に重要な部分です。
そして、家の価値は、建築時の価格や見た目だけでは決まりません。
適切な設計と施工によって建物の耐久性を確保し、点検やメンテナンスがしやすい計画にしておくことは、将来にわたって家を維持していくうえでも大切です。
私たち未来ホームでは、目に見える部分だけでなく、完成すると見えなくなる部分についても、きちんと考えた家づくりを大切にしています。
大きな会社だから安心、小さな会社だから不安ということではありません。
どのような考え方で設計し、どのように施工し、どこまで責任を持って家づくりに取り組んでいるのか。
住宅会社を選ぶ際には、そうした部分にも目を向けていただきたいと思います。
最後に
ベタ基礎は、優れた基礎工法の一つです。
しかし、「ベタ基礎だから安心」ではなく、「その建物に適した基礎が、きちんと設計・施工されているから安心」なのだと、私は考えています。
SNSの写真は、家づくりを学ぶためのよいきっかけになります。
ただし、一枚の写真だけで、その基礎が良いか悪いかを判断することはできません。
大切なのは、見た目や工法の名前だけにとらわれず、建物全体の構造を考えた設計と、確実な施工が行われているかということです。
これから家づくりを始める皆様には、ぜひ、間取りや価格だけでなく、基礎工事をはじめとする見えなくなる部分にも関心を持っていただければと思います。
家は、完成した瞬間がゴールではありません。
そこから何十年と暮らしていく、大切な場所なのですから。
未来ホーム株式会社
住所:福岡県那珂川市片縄北4丁目2−20 大神第3ビル 101号
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